サクセサーズ
「ろ、ローラ…!」


リリィは思わず声を上げた。ローラは倒れているダグラスに寄り、アレンに頭を下げて懇願した。



「我々の仕打ちが悪かったことは認めます!ですが、命ばかりは…お助けください!」



その言葉で我に返ったのかアレンは切っ先を首から離し、剣を鞘に戻した。


「……」



無言でダグラスとローラから何歩か下がって距離をとり、出口の方を向いた。




リリィは辺りを見回しながらそっとアレンのそばに近づいた。アレンは唇を噛み締めて、何とも言えない表情をしていた。



「行くぞ。リリィ」




そう言うと、アレンはすたすたと歩き始めた。リリィはそんなアレンとローラを見やり、アレンの方に着いていった。



少し歩いた時に、ローラの方を彼女は見た。



いつも勝気なローラが恐怖に怯えていた。そして、申し訳なさそうにリリィを見つめていた。



リリィはローラを見つめるだけだった。それはローラも同じだった。お互いがお互いを裏切ったと感じ、かける言葉が見つからなかったのだ。





リリィの旅は無言の出立から始まった。その時の夜空は馬鹿に綺麗な星空が輝いていた。



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