俺様魔王の甘い口づけ
扉を持ったまま倒れる私を受け止めた誰か。
私の身体がふわっと急に浮かび上がる感覚。
「えっ?」
遠ざかっていく地面。
いったい何が起きているの?
顔を上げ、その原因を探る。
「ル、ルイ!?」
そこには、私を抱え上げ空を飛ぶルイの姿。
ルイの背中には、漆黒の羽。
ああ、本当に悪魔なんだと気付く。
でも、どうしてここに?
「な、なんで?」
その疑問を直接ぶつける。
ルイは、まっすぐ向かう先に向けていた視線を私に移す。
「俺様の非常食が、あの者の手に落ちるのは気に入らん」
「あの者って…」
「エドワード」
「王様?」
なにそれ、ただそれだけの理由なわけ?
まぁ、期待なんてしてないけど。