俺様魔王の甘い口づけ



「…ハンスさんも、血を吸うの…?」



私は怯えてそう言った。
もしそうなら、危険なことには変わりないから。
いくら、口調が優しいからって安心はできない。


「いえ。血を求めるのは魔王さまだけにございます」

「魔王だけ…?」

「はい。ですから、他の悪魔が人間の血を吸うことはありません」




それってどういうこと?
魔王も、悪魔なんでしょう?
それなのに、他の悪魔は血を吸わない…。
別に、血を吸う必要はないってこと?



「魔王さまは、我々と同じ悪魔ではありますが、特別な体質を持たれたお方なのです」

「でも、だからって…」



特別とか、そんなことはわからないけど。
でも、死ぬまで血を吸い取る必要はないはずだよね。
残酷すぎるあの光景が、脳裏に焼き付いて離れない。




「魔王とは、残酷であれ。…それが魔王さまに代々受け継がれる掟にございます」

「…なにその掟!バカじゃないの!そんなふざけた掟で、人が簡単に殺されて平気だって言うの?」




あの化け物…魔物だって仲間じゃなかったの?
それを平気で…。



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