俺様魔王の甘い口づけ
「そして、口移しでその力が漏れないよう流し込んでいく。そうすれば、魔王の呪いはとかれるだろう」
「心から愛する者・・・」
この薬を見つけるだけじゃ、ダメだって言うの?
ルイを心から愛している人、なんて・・・。
「その薬を飲むだけでよければ、とうの昔に魔王自身がこれを飲んでいるであろう」
「そうだよね・・・」
それもそうだ。
そんなに簡単じゃないから、今までその力は発揮することなく・・・。
「そなたなら、きっとこの薬を使うことができるであろう」
「え?」
「そう思ったから、私はこれをそなたに託すのだ」
「魔術師さん・・・」
「私の名は、リリー。覚えておいてくれ、芽衣子」
「私の名前・・・」
「私のわからないことはないよ。私はそなたを気に入った。また会いに来てくれ」
フードを外し、私を見て笑ったリリー。
さっきまで感じていた不気味さは消え、あどけない少女の笑顔だった。