業務報告はキスのあとで

手島さんの姿は段々と小さくなっていき、終いにはこのオフィスから見えなくなってしまう

ああ、手島さんに仕事を教わるという至福のひとときが……

なんて肩を落とす私の側から何やらイラッとするひとことが飛んできた


「よーし。じゃあ、仕事始めますかー」


この明るくて、呑気で、軽い平岡さんの言葉。

これを軽く流せたのなら良かったけれど、どうも私はそんなに大人ではないようで。

こっちは遅刻魔な貴方と違って、既に1時間前から仕事始めてるわ!

なんて、心の中で鋭くツッコミをいれてしまった。


「はあ」


今日も疲労の溜まる一日になりそうだと思い、再び肩を落とす。

そんな私の肩をペシッと誰かの手が叩き、私の背筋は反射的に伸びた



「おーい、猫背になっちゃってるよー? く・る・み・チャン」


「あ、すみませんでした

…………って、え…平岡さん、今」



私の聞き間違いでなければ、平岡さん、今〝くるみちゃん〟って……

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