業務報告はキスのあとで

うわぁ、面倒くさい。

面倒くさいけれど、とりあえずこれは適当に流すしかないか。


「別に理由なんて」


ありません、と言い終わる前に「あ!」と大きな声を出す平岡さん

平岡さんは続けて「主催者が俺だから心配なんでしょ、小松さん」と、まあ、ビンゴとまではいかないけれどハズレでもない回答。


「はは、その表情は当たりでしょ?大丈夫大丈夫、安心して来てよ本当。今年は今までより力入れるから」


ネ?胡桃チャン、と付け足した平岡さんに私はムッとする


「あの、その呼び方やめてください」

「えー? なんで? 可愛いじゃん」

「な、は……だから、そ、そういう事じゃないんですけど!」


名前が。という意味にも関わらず、言われ慣れていない〝可愛い〟という言葉についつい反応してしまう



「……と、とにかく。私は歓迎会には行きませんので」


平岡さんと話していると調子が狂ってしまう私は、そう言い捨ててその場から離れようと試みた


ところが


「なになに、また痴話喧嘩してるの?」


と、私と平岡さんの元へやって来た手島さんにより私はその場を離れるタイミングを逃してしまった

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