最後の日
「何がおかしいんだよ」

「だって……泊まっていけとか言う前にまず言う事あるんじゃないの?」

「う……」

 相澤が半端な気持ちで言ってるわけじゃないのは分かるけど、これじゃあまるでナンパだ。女としてこのままじゃ頷けない。
 相澤は少し天を仰いで深呼吸してから私の方へと向き直った。

「お前の事が好きだ」

 顔は赤くてもその目は真剣だった。
 今度は私も笑わない。その代わり、じわっと目頭が熱くなってくる。けれどその後に相澤が続けた一言に再び吹き出してしまった。

「結婚しよう」

「……え、付き合ってもないのにいきなりプロポーズ?」

 直情型の相澤らしいけど、さすがにそれは気が早すぎないか。

「だってお前三十二歳で無職のニートになるんだろ」
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