犯罪彼女

「そういやお前、ズボンじゃないの珍しいな」

「お、気付いたんだ」

言われた通り。私は普段ショーパンかスキニーしか履かない。
意外と見てるね。えらい。

「……てかお前、11月の約束してた日、駅前にいたか?」

「……!」

眉をひそめながらすーちゃんは尋ねてくる。
今気付いたの? てかやっぱり気付いてなかったんだね。

「いるわけないじゃん。いたなら言うもんね」

だけど私は否定。だって、今さら気付いたってすーちゃんが気にするだけだから。

別に私はすーちゃんを困らせたいわけじゃないし。

「お前っぽい奴いたんだけどな。
スカートだったし髪も匂いも違うかったけど」

「なら私じゃないんじゃない?」

「なんかすっきりしねぇな」

すーちゃんの勘も動物のそれとほぼ同じ。すごい的中率だ。

< 60 / 256 >

この作品をシェア

pagetop