【完】狼様の最愛。
まるでその壷の蓋が、カタカタと動いてるよう。
……知ってる、私。
この感覚を知ってる。
閉じた瞼に、過去の記憶が映る。
小さな女の子、これは私。
私が跨がるのは、白い狼。
その周りには、ヒルナとマンタがいる。
「貴方は、誰なの……?」
昔から、私の傍にいてくれた貴方。
こうやって昔のように記憶を失くした私を乗せ、貴方に何のメリットがあるって言うの?
柔らかい毛並みに体を預け、思う。
愛おしい……。
狼は答えなかった、何も。
ただ無言で私を運び、赤坂村への道を走り続けた。