本当は怖い愛とロマンス
東京に着いて、すぐ空港からタクシーに乗って自宅に帰った。
あの駐車場での出来事で、谷垣からの話を社員を通して、中田と隼人が警察に捕まったと聞いた。
谷垣としては、ツアーが始まった俺にはマイナスイメージになるとの事で、今回の事が表沙汰になる前に早めに噂やマスコミを金で買収し、噂を握りつぶしたらしい。
しばらくマネージャーが決まるまでは、事務所の人間が何人か周りについていたが、逆に目立つと俺が抗議して追い払い、今は晴れて自由の身だ。

自宅のソファに腰を下ろして、相変わらず酒とタバコを吸いながら、ベッドにも行かないまま眠りにつく。

本当ならまた前のように遊び歩いて、寂しい日常や気持ちを紛らす事も出来たはずなのに、出来なかった。

裏切られたという悲しい気持ちが言葉にできず、その感情に堪えきれない俺はため息と一緒に煙で出ていく。
何度も頭の中で彼女の笑顔や思い出を1日ごとに一つづつ消していく日々が今では慣れてきた自分がいた。

カチカチと時計の音だけが鳴り響き、一定のリズムを刻んでいく。
心地いい音とアルコールも相まって、俺を眠りに誘っていたその時だった。

家のチャイムが鳴り響いて、俺は一気に目が覚めた。

時計を見ると12時を少し回っていた。
こんな夜中に誰だよと思い、眉間にシワを寄せて、苛立ちながら玄関のドアを開けた。
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