彼と私の問題点を考える
1
 
 
 
「お疲れさまです」


定時を大幅にオーバーして切ったタイムカードを“広瀬涼香”と書かれた専用のラックに差し込んで首にかけていたネームプレートを外した。


大して重量感のないそれを外しただけで重たい荷物を下ろしたような錯覚さえしてくる。


休日出勤、もとい土曜日は元々仕事のためそうは言わないため、余計に疲労感がたまる。


ロッカールームに向かう足取りは心なしか急ぎ足で、制服を脱ぎ捨てて乱暴にカバンに詰め込んで数分もしない内にロッカールームを出た。


電車の中にいるのが遊び帰りの学生だろうが、休日出勤のサラリーマンだろうが関係ない。


平日より空いている電車で座れなくても、そんなのはどうでもいい。


途中ふざけた高校生くらいの男子の鞄が勢いよく背中に当たったけどそんなのは軽くシカト出来るくらいにどうでもいい。


なにより明日が休日っていうだけでこんなにも心に余裕がもてる。

 
< 1 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop