口の悪い、彼は。
「……自分が自信を持ちたいから、好きだと言ってほしいのか?」
「っ!……そうだよ。私だって、自信くらい持ちたいよ」
「は、馬鹿馬鹿しいにも程があるな」
「……っ」
「……はぁ。そういうことなら、別れるか。俺には付き合いきれない」
「!?」
千尋の冷たい目線が私に突き刺さる。
その瞳にはあたたかさも優しさも一切ない。
「その方がお前もすっきりするんだろ?」
「……何、それ?何でそんなこと言うの?千尋は、私と別れたいの……?比奈子さんと……よりを戻したい、から?」
「はぁ?アホなこと言うな」
「どうせアホだもん!子どもだもん!……“別れる”なんて言葉を簡単に出してくるなんて、千尋は私なんかいなくたっていいってことなんでしょ!?」
「……はぁ」
「!何で、何も言ってくれないの……!?」
私は千尋に、そんなことない、お前のことだけが好きだ、ってそれだけを言ってほしいだけなのに!
千尋のことをじっと睨むけど、その口からは何も出てこない。
ただ、私のことを呆れたように冷たい瞳で見てくるだけ。
「~~っ、千尋のバカ!!!」
私はがしゃんと音を立ててブランコから立ち上がり、公園の外に向かって走り出す。
その後ろを千尋が追いかけてくる気配は全くなかった。
……ほんの少しだけ期待した私がバカだったようだ。