口の悪い、彼は。
「俺のこと知りたいんなら、これからどれだけでも教えてやるよ」
「ぶちょ、んむ……っ!」
そのままソファーの背に押し付けられるようにして、私の唇は部長のそれに塞がれる。
前には部長、後ろにはソファーがあって、私には逃げる場所はなかった。
さっきと同じでやっぱりその唇は柔らかくて、あたたかくて、私のことを少しずつゆるりと溶かしていく。
……部長って……キス好きなのかな?
そんなことを思いながら部長のシャツを握ってキスに酔いしれていると、顎に添えられた部長の手によって開かされた唇の隙間から部長の舌が入ってきた。
その動きは私の身体の奥を熱くさせるようなもので、あまりの気持ち良さに身体から力が抜けていくのを感じる。
ソファーの背に沿って滑り落ちていくように、私の身体がずるずると沈み込んでいくのを感じて、『あ、横に逃げ場があったんだ』とぼんやりと気付いたけど、私はもう逃げる気なんてこれっぽっちもなかった。
むしろ、部長にもっと近付きたいと思った。
唇が一瞬離れ、その角度が変わって再びぶつかるように唇が触れた時だった。
「んんっ、……ふぁっ!?」
「!」
部長との間に距離が生まれ、私の身体が重力に従うように一気にソファーを滑り落ちてしまいそうになってしまう。
でも、すぐに私の身体は部長の腕に支えられて、完全にソファーの上に落ちることはなかった。
その代わりに……私は部長の胸に体重を預けるようにして寄り掛かる格好になってしまっていた。