口の悪い、彼は。
 

ベッドからは、何度も何度も抱きついて、何度も何度も抱き締めてくれた人の匂いがする。

このままこの匂いとぬくもりに包まれて眠りたいと思ってしまうけど、そうもできない気がして、私はもそりと身体を起こした。

すぐ横に目線を落とすけど、ベッドの上には私だけしかいない。

服はどこだろう、と辺りを見渡した時。


「やっと起きたか?早くこっちに来い」

「ひゃっ!?」


後ろから飛んできた声に振り向くと、部長がいつもと同じように涼しい顔をして立っていた。

私は慌ててシーツを自分に引き寄せて、身体を小さくしてしまう。

その行動に部長は眉をひそめながら、ベッドの枕元を指差した。


「それ着てろ」

「えっ?」


そこにあったのは、たぶん私が着るとだぼだぼになりそうなサイズのスウェットの上下だった。

もしかして、これって部長の部屋着?

これを着ろって?


「あ、あの……」

「あ?何だよ」


部屋の入り口のところに寄り掛かって、私のことをじっと見ていた部長に疑問を投げる。


「私の服は……」

「めんどくせぇから全部洗った」

「はいっ!?全部、ですか!?」

「別にいいだろ?」

「い、いや、でも……」


し、下着も、ってことだよね!?

その証拠に私は何も着てないし!

 
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