The Fool−修正版−
「あ、ガリさん。おかえんなさいって何そのすごい格好!!」


「ガリ兄!………」


ガリは全身血まみれ、歩いた道には綺麗な赤色の足跡がくっきりと残っていた。あわてて理由を聞こうとするマルスを手で制す。


「……なんでもないさ」


そう言って、次元の穴を開かせ、自分の本来いるべき世界に帰って行った。


「マルスさん、何があったんですかね?ガリさん」


バルトが心配そうに言う。が、マルスはにっこり笑う。


「さぁ?本人が何も無かったって言うんだからなんでもないんだろ」


「そうよ。あの変態なんてどうせ、綺麗なお姉さんハンターの手助けして血でも浴びたんでしょ」


ラーナはあいつは変態なんだからと笑う。


ラーナとTHE FOOLの彼らには知られていないのだが、ガリが血を浴びるということは『自分と同じだった者』か、何かを決意しなければならないときだけである。


だから、マルスは、ここにいる誰よりも心配していた。


「ガリ兄も帰ってきたから俺達も帰るわ」


そう理由をつけてラーナと共に帰って行った。


「さぁってと………夕食作るかー」


マハがそういうと皆小さく跳ねる。


「忘れてた…………」


「同じく……」


フィードとバルトが口の端を引くつかせる。


「今日……は………どんな………ゲテモノ………かにゃん♪」


唯一、ゲテモノ……もとい、マハの料理を楽しみにしているのはライだけである。


理由はみんなの苦しんでいる姿を見たいがためだとか。


「ふふ………今宵の……阿鼻叫喚も……蜜の味」


その中で一人、バラは一人そろそろと玄関に向かう。


「バラ、夕食出来たら呼ぶからね♪修行頑張って」


「う、うん。頑張ってくるよ……はは」


涙を流してバラは答えた。
< 142 / 143 >

この作品をシェア

pagetop