The Fool−修正版−
「いでよ“ベガルタ”、“モラルタ”!!」


「………バラ!神疑!始騎!バックアップよろしく!!」


空間は風の刃を、幕内は炎の中から一対の剣を取り出した。


姿知祈は拳を石のように硬くして立ち向かう。


姿知祈と幕内はウスナに、空間と三人はヒューゴに、それぞれ対立する。


「貴方達は……私のテリトリーに入りました」


音も無しにウスナの周りに人形が出現する。


「歩!歩!桂!」


俺の所に人形が三体、幕内にも三体、行く手を阻む。


槍を持つ二体の人形が襲い掛かる。


「……く!」


姿知祈は上に飛んで逃げる。


が。やはり、そこはプロであるから抜け目が無い。


「…な!……矢!?」


そこへ矢が襲い掛かる。


姿知祈は咄嗟に氷の盾を作り、防ぐ。


落下中、気付く。


下の人形が槍の先を天に向けている事を。


「鬼の手ぇ!」


人形の隣に巨大な鬼の手を出現させ、


「平手打ちぃ!」


横に叩く。


三体は倒された後、すぐに消えた。


「幕内!!」


幕内の方に振り返る。


まだ、格闘中のようだ。


「幕内!今助けに……」


「あら、その必要はないですよ」


背後から強い殺気を感じた。


急いで前に転がる。


「あなた……不幸ですね」


…上!?


今度は横に転がる。


床が凄まじい音を上げる。


彼のいた場所が無造作にひび割れ、凹んでいた。


「先に“将棋人形”を倒した人と戦うと決めたんです」


鉄球をゆっくりと持ち上げる。そして、ニッコリと笑うウスナ。


それが戦うという意思に恐怖感に植え付ける。


「…せいぜい…自分の不幸を存分に呪うがいいわ」
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