私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
ーーーー現在PM11:50。
久しぶりに夢にうなされて、家を飛び出してきて3時間。
隼からの着信21件。
過去に囚われて馬鹿な女だと
みんな、そう笑うだろう。
悲劇のヒロインぶってるだとか。
ーーけれど、一度裏切られる事を
知ってしまったら
その傷は何度も繰り返し裂けて
二度と完治することはないのだ。
『……っ夏織!』
その声に、ゆっくり顔をあげれば
息を切らして髪を乱してこちらを見る“隼”がいた。
『こんな夜中に、1人で公園に
いるなんて馬鹿じゃないの。』
「……ご、めん。」
隼が、こんなに冷静に私に話ができるのは、
『怖くなったら呼んでって言ったろ?』
これが1度目じゃないから。
「だって、仕事中だったか、ら。」
『夏織のためなら
仕事やめてもいいよ。』
私に自分の羽織っていたコートをかけながら真面目な顔で、そんなことを言ってくるものだから驚いてしまう。
「……ばかっ。」
『それ朝も言われたんだけど?』
その優しい手は、いつだって私を
正しい道に引き戻してくれる。
『帰ったらお風呂一緒に入ってね。』
「……いいよ。」
『え、いいの?』
「……何度も聞かないでよ。」
『雪が降る……。』
「うるっさい。」
どちらからともなく手を繋いで
家までの帰り道を歩く。
“何に怯えてるの?”
隼は、そう一度聞いてきたきり
私が答えないと分かると
それ以来、聞いてこなくなった。
(いつか必ず、)
ーー私から話すから、待ってて。