私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中

こんな男が、社長だなんて世も末である。


「ちょ、とっ!」

『しー。』


社長室の扉が閉まるなり、私に後ろから抱きついてきたので思わず声を荒げてしまった。


『ここは、
誰からも見えないから。ね?』


にやり、首を傾げて笑う。

私は心の中で、なにが“ね?”だ。
このクソへんたい男め、と女性らしからぬ暴言を吐く。


「………っっ」


首筋に這う指に、なんとか声を
堪えていれば、


『それ逆効果だから。』


耳元で、低音の甘い声が響いた。







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