【短編】夏の海辺の終わらない明日
部屋は西向の海に面している。


海に沈む夕日を堪能出来る私だけの贅沢。


通勤に2時間以上かかるけど、それだけの価値はある。


ゴワゴワのスエットを脱ぎ捨て、熱いシャワーを浴びる。


全然熱くない。


やはり、連日の暑さに体温調整が追い付かない。


連日…猛暑。


溶ける…。


溶ける…。


とろける程に。


ワシワシとタオルで髪の水分を拭っただけで、乾かすのも後回しで、私は部屋を眺めた。


汚れていた。


最近、まめに掃除してなかったから。


暑いから。


面倒だから。


洋服箪笥から水玉のパジャマを取り出し素早く着替える。


ぶかぶかのパジャマは男物。


冷凍庫からギンギンに冷えた、がりがり君チョコリッチを取り出す。


夏場はやっぱり、がりがり君がよく似合う。


部屋に散乱する洗濯物に混じって、赤ちゃんグッズが目立つ。


どれも、新品。


中には、プレゼント用の包装がされたままの服もあった。


赤ちゃんでもいるの?


馬鹿な考えが脳裏を横切る…。




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