それが愛ならかまわない

「ごめん。この間のはただの八つ当たりだった」


 自分の非を素直に認めるのは結構な精神力を必要とする。ましてや相手は取り繕うどころか本性のバレている椎名だ。
 八つ当たりだったなんて多分彼には見透かされているし、その上で何事もなかったかのように素知らぬふりをしてくれているのは分かっていたけれど、このままなし崩し的に水に流すのは嫌だった。


「椎名に言われた通り、何でも一人で出来る気になった上につまんない意地張って、結果破綻して周りに迷惑かけまくって。空回りしてばっかりで馬鹿みたい」


「……別に気にしてない」


 少しの間の後に返って来たのはそんな言葉だった。
 うん。多分椎名ならそう言う様な気はしてた。
 社交性は私の方があっても、肝心な所で装い切れない私よりいつも冷静で内面を悟らせない椎名の方がよっぽど大人だ。


「一応仕事は間に合ったんだな」


「多方面に迷惑撒き散らしたけどね」


「反省する事と引きずる事は別物だろ」

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