風が、吹いた

私のことは、先輩の中でもうなかったことになったの?




私が居なくても、笑えるの?




私は、笑えないみたい。




先輩が居ないと、だめみたい。




楽しかったの。




嬉しかったの。




失くしたくないの。




だから友達で居ようって思ったの。




ずっとー



一緒に居たいから。






「くらもっちゃん!?」



ここのところ、毎日例の夢に悩まされていたのと、ひとりぼっちという現実に戻れなかった心のせいで、寝不足がずっと続いていたから。




気づかない間に、何年もかかったことのない風邪をひいて、高熱を出していた私は、意識を失ったらしい。



ー涙腺がやけに緩かったのは、きっとそのせいだ。


おかげで、吉井の悲鳴にも似た呼びかけの声も、直ぐに聞こえなくなった。



< 170 / 599 >

この作品をシェア

pagetop