風が、吹いた
私のことは、先輩の中でもうなかったことになったの?
私が居なくても、笑えるの?
私は、笑えないみたい。
先輩が居ないと、だめみたい。
楽しかったの。
嬉しかったの。
失くしたくないの。
だから友達で居ようって思ったの。
ずっとー
一緒に居たいから。
「くらもっちゃん!?」
ここのところ、毎日例の夢に悩まされていたのと、ひとりぼっちという現実に戻れなかった心のせいで、寝不足がずっと続いていたから。
気づかない間に、何年もかかったことのない風邪をひいて、高熱を出していた私は、意識を失ったらしい。
ー涙腺がやけに緩かったのは、きっとそのせいだ。
おかげで、吉井の悲鳴にも似た呼びかけの声も、直ぐに聞こえなくなった。