風が、吹いた

________________________


―「くらもっちゃん!?」



バスケの授業の途中で、くらもっちゃんが倒れた。



朝から様子がおかしいなとは思っていた。



椎名先輩のことを、やけにすんなりと、話したことにも内心驚いた。



明らかに周囲に心を開き始めたくらもっちゃんが、また寂しげになったことに気づかないわけがない。



だって、私はずっとくらもっちゃんと友達になりたかったから。



でも、彼女はいつも他人に付け入る隙を与えてくれなくて、あっという間に半年も経っちゃって。



失敗したな、もっと早く声を掛けるべきだったって今では思っている。



そしたら、1番は椎名先輩なんかじゃなく、2番は浅尾なんかじゃなかったはずなのに。



悔しいけど、椎名先輩のお陰で、私はくらもっちゃんと話すことができた。



感謝なんてしてやんないけど。
< 198 / 599 >

この作品をシェア

pagetop