風が、吹いた

その上、彼女の身体がぐらっと傾いて、その場に崩れ落ちるのを見たときには、悲鳴に近い声で、彼女の名前を呼んだ。




「くらもっちゃん!?」




慌てて支えようと駆け寄って掴んだ彼女の身体は、燃えるように熱かった。



原口先生と一緒に抱き抱えるようにして、保健室に運ぶことになった。体育館を出る時に、一瞬見えた浅尾の顔、くらもっちゃんに見せたかったな。



あんな顔されたら、浅尾の気持ちは絶対否定できないのにね。



三城先生に頼んで、保健室を後にする。




「この寒いのに、お風呂から出てふらふらしてたのかしらねぇ。」




体育館に戻るまでの間、原口が話しかけてきた。



原因の見当はついていたけれど、適当に相槌を打って、教えなかった。



くらもっちゃんが、風邪を引くのは当たり前だ。



これだけ寒いのに、毎日昼になると屋上へ行ってたんだから。
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