風が、吹いた

「特には…」




そう言うと思った、と笑いを濃くして、彼が呟く。




「じゃあさ、電車で、ちょっと遠出しない?」




ここに越してきてから、いやその前から、電車に乗ったことはほとんどない。




単純に、好奇心をそそられた。




「いきたい!」




よく出来ましたと、彼は私の頭を撫でてくれた。
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