風が、吹いた



ー遅刻。




慌てる様子がないのは、それなりの大義名分があるからか、それとも、常習か。



呆れながらも、その姿を目で追いかける。





「倉本」




一瞬、誰の名前を呼ばれたのか、理解できず。


もう今は誰もいなくなった寂しい窓の外の風景から、はっとして視線を前に戻すと、そこには明らかに怒りを含めた笑みを湛える、担任が居た。




「お前、、、朝から余所見とは大したもんだなぁ」




きっと何回か、名前を呼ばれたんだろう。




「………すみません」




罰として、放課後にクラスの名簿の整理やら何やらをやらされることになってしまった。



ー佐伯さんに、連絡しておこう。


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