風が、吹いた
余りの恐ろしさに、よけた紙切れを再び手に取り、渋々開く。
[さっき椎名先輩と話してたじゃん!やっぱり知り合いなの?あの先輩が女と話すとこ、初めて見た!]
これ、返事書かなきゃいけないんだろうか。
うんざりしたように吉井に視線を送ると、うん、と頷いている。
小さく溜め息をついた後、おもむろにシャーペンを持つ。
ルーズリーフの端をちぎって、
[うん、友達]
と短く書いて丸め、小林が背中を見せた瞬間に、隣に投げた。