風が、吹いた

余りの恐ろしさに、よけた紙切れを再び手に取り、渋々開く。




[さっき椎名先輩と話してたじゃん!やっぱり知り合いなの?あの先輩が女と話すとこ、初めて見た!]




これ、返事書かなきゃいけないんだろうか。



うんざりしたように吉井に視線を送ると、うん、と頷いている。



小さく溜め息をついた後、おもむろにシャーペンを持つ。



ルーズリーフの端をちぎって、




[うん、友達]




と短く書いて丸め、小林が背中を見せた瞬間に、隣に投げた。
< 98 / 599 >

この作品をシェア

pagetop