☆Friend&ship☆ -序章-
「…オリオン」
少し速足な癖と長い足が相まって歩くスピードがかなり速いタナトスに追いつこうと駆け足で追いかけるイーリス。
「…」
「オリオンってば!」
「…今の名はタナトスだ。お前も聞いていたはずだろ」
ぴたりと足を止め、カクンと頭だけ後ろへと回して話すタナトス。
「そんな縁起悪い名前で呼びたくない。知らないの?タナトスは「死の神。だろ」
「なんだ、知ってたの」
「当たり前だ。やはりその話し方のほうがいい。」
「何の話?」
「お前の口調だ」
「はっ!!!」
「(笑)」
「///」
「そっちのほうが可愛いからな」
「う、うるさい」
またもや止めた足を動かし始めて歩き出したタナトスをイーリスは慌てて追う。
「何であんな名前にしたの?」
「俺の勝手だろう」
「気になる」
「…ゼウスはああ見えても結構頭の回る奴なんだ。嫌いなことにはさっぱりだが、少なくとも興味を示したことはほとんど天才級にできる。俺が知ってる中であいつができないのは歴史の暗記だけだからな。」
「…意外」
「半年前、前の主人が打ち取られたんであいつに仕え始めたがあいつだけは出し抜ける気がしない。扱いもいいしな」
「?」
「俺はここに来てからDOLLと名乗って専門奴隷をやってた。いや、今もやってるがな。だからお前も俺のことを好きに使ったらいい。ゼウスは友達代わりになれといってたが」
「奴隷?」
「そればっかりか。話が進まない」
「だって、それって「自由さえ、自分のものじゃない。俺が手にできるのは死だけだ。だからタナトス。ゼウスに知ってほしかった。俺はお前のものだって。
それにお前、何故俺にまとわりつく」
「あなたには、私と同じ色を感じるからか、仲間意識が芽生えるの」
「それは良かった」
「何故?」
「俺に会った女は皆、一目で恋に落ちるから。」
「ごめんなさい」
「良かったといっただろう?俺は宿命の恋しかしないからな。それにそれを叶える気もない」
「意外にロマンチスト」
「嫌味か?」
「綺麗な顔して毒舌」
「その話し方にしてろよ、綺麗なお嬢さん」
「意地悪」
「惚れないなら今度星についたら一緒に歩いてくれないか」
「何で?」
「嫌ならいい」
「何それ」
「俺は仕事があるからな。あの寂しがり屋の船長に相手してもらえ」
「私は寂しがり屋じゃないけど?」
「俺が相手してやることになりかねないからな」
カクンと小首を傾げてタナトスは自室に消えた。