帰宅部エース
花瀬くん







「花瀬くん。レポートを提出してくれませんか」




担任に頼まれ、宿題で出されたレポートを集めまわっている。

彼、花瀬桜くんが最後のひとり。




「放課後、宿題をしないで遊びまくる不良、の活動をしてたからやってない」



変わり者だと聞いていたけど、ここまでか。

感心すらしてしまうその返答を、冷静に対処することにする。




「怒られますよ」


「今日の放課後は居残りで怒られる……やったことないな」




今まで怒られたことがなかったということが不思議で仕方ない。




「今日の活動内容が決まった。ありがとう」


「は?……はい」




注意していたはずなのに、まぬけな声を出してしまった。

こんなことでお礼を言われたのは初めてだ。


明日には、忘れているだろうけど。



淡い茶色をした髪を揺らしながら教室を出て行く花瀬くんの背中を見送り、職員室へと向かったら。
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