狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録

優越感

「あれ?シュウ一緒に行かないって?」


教室から出て行ったシュウの背中を見送りながらミキが振り返った。


「うん…」


(なぜアラン先生はシュウに冷たくあたるような言い方を…鬼の血とか、日の光に耐性のある蝙蝠(ニュクテリス)って一体どういうこと…?)


「…ではアオイさん。下のカフェで落ち合いましょう」


背後から優しい声がかかり、群れ始めた女子生徒をかき分けながらアランは教室を出ていく。


「はい、アラン先生…」


「やーんっ!!待ってぇ!アランせんせーっっ!!」


そして無視された派手な女子たちはめげることなく彼の跡を追いかけ、パタパタと音を立てて消えて行った。


「なんだろうこの感じ…」


と、意味深な言葉を発したミキが腕組みをしながら呟いた。


「…え?…どうかした?ミキ」


彼女が何かに気付いたのかとアオイの心臓が嫌な音を立てる。


「優越感っていうのが正しい表現なのかしら…」


「…ん?」


「アラン先生は私たちとランチよーっ!!ホーッホッホッホッ!!って無性に叫びたい気分だわっ!!」


「あ、そういう事ね…」


苦笑いを浮かべるアオイだが、なんとなくその気持ちは理解できる気がする。
キュリオから王の肩書を取ったとしても…十分過ぎるほど魅力的な男性には違いないのだ。


「シュウにはあとで差し入れ持ってくとしてっ!アオイ!いざ、出陣よっ!!」


「ミキってば…」


(シュウ…)


アオイはいつも一緒だったシュウをひとりにさせてしまった事に後ろ髪を引かれながらも、ミキとともに一階にあるカフェを目指した。

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