君の名を呼んで 2
***
BNPに帰ってきた私達。


「梶原さん、ちょっといいですか」


ナナミちゃんはロビーで私を引き止めた。
城ノ内副社長は意味深な笑みを零して、先に行ってしまう。


「余計なことばっかり。あんな話でうちの家族が変わるわけないじゃないですか。偽善者って私嫌い」

ナナミちゃんの鋭い言葉に、だけどすがるような響きを感じて。
私は彼女へと口を開いて。

「でも、できることがあるなら私は何度だってやる。あなた達の為のマネージャーだもの」

穏やかな笑顔を浮かべることができた。


「梶原さん、私を責めないんですか」

ナナミちゃんは私を見つめて問う。


「責められるようなことをしたの?」

私は静かに彼女に問い返した。
ナナミちゃんはぎゅっと拳を握りしめて、私を挑むように見る。


「あの日……梶原さんの誕生日、私は一晩中、城ノ内さんと一緒でした。彼と私のこと、気にならないんですか」


私はナナミちゃんの言葉に、一瞬だけ息を止めて。


ーー気にならないわけがない。
モヤモヤしないわけがない。


けれどゆっくりと首を横に振った。


「私は、皇を信じてる」

「彼は浮気なんてしないって?」

ナナミちゃんの問いに、苦笑した。
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