重い想われ 降り振られ
「悪いな。まだ家政婦とか雇ってなくて、少し散らかっててよ。
今はまだ、他人に部屋を出入りさせたく無くてな。」

「橘さんやっぱり真理ちゃんの事、本当に好きなんですね。」

菜奈は立ち上がり鞄を座っていたイスに置くと、簡単にだが部屋を整い始めた。

「押しかけてきたついでです。橘さんが、荒れた部屋で一人で居るなんて
似合わないですから。」

使ったまま放置されているグラスを回収し、菜奈はキッチンの流しに持って行く。

流し台にも、使い終わった食器が幾つか残されたままだった。

冷蔵庫を開けると飲み物以外は殆どなく、缶ビールを一本取り出し、
新しいグラスと共に橘に差し出した。

「悪いな。」

橘は菜奈に礼を言いつつ、受け取った。

菜奈は流しにある食器を洗い終えると、早々に部屋を出た。

橘のマンションのロビーを出ると、菜奈の目の前に派手な女性が立ちふさがった。

見知らぬ顔に、菜奈は無視して通り過ぎようとした。

「あんた、最近優斗の周りをうろついてる女だね。」
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