重い想われ 降り振られ
運転しながら橘は真理子の手を握って言った。

「今夜は家に泊りにこい。」

真理子は「うん。」と小さく答えた。

橘は真理子のアパートの前に車を停車させた。

荷物をまとめるまで待っていると橘は告げるが、真理子はそれを断った。

「買い物もしてから行きたいし、先に帰っててください。」

橘は了承し車を出した。

橘の車を見送った真理子は、アパートに戻り荷物をまとめ部屋を出た。

駅を出て近くのスーパーに入り、今夜のメニューを考えながら
食材を選びカゴに入れていった。

夕方前の店内は、主婦や親子連れの客でごった返していた。

レジに並び会計を済ませて外に出ると、辺りはすでに沈みかけた太陽が赤く
綺麗なオレンジ色が広がっていた。

道に広がり落ちている落ち葉が、秋を実感させた。

橘のマンションの前まで来ると、植込みの向こう側に橘の姿が見えた。

待ちきれずマンションの前まで出迎えに来ていたのかと、真理子は思った。
< 181 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop