重い想われ 降り振られ
月曜日の朝。

真理子はあの携帯の電源を切り、再び洋服ダンスの奥に閉まった。

契約はすでに解除してある。

二度と着信することは無い携帯を、橘への想いを断ち切るように閉まったのだ。

真理子は社長の話を受けると決心していた。

恋する気持ちを知った真理子には、父に裏切られた母の気持ちが
今はどれだけ辛いものか理解できているつもりだった。

そんな母を残して出て行った自分を今は許せなかった。

自分の不甲斐なさを悔いていた。

いつまでも橘を想ってしまう弱い自分が嫌いだった。

橘とのデート用に買っておいた薄いクリーム色のワンピースを取りだし、
袖を通した。

小林に買ってもらった眼鏡をかける。

少し伸びた髪を見て真理子は思う。

『少しはかわいく見えるかな?』

玄関の扉に鍵をかけ、真理子は旅館に向かった。
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