重い想われ 降り振られ
宿泊客の夕食が終わり片づけに入る頃、真理子は橘に呼び出されて
旅館のロビーに向かった。

フロント前で橘は待っていた。

真理子を見ると、黙ったまま玄関の外に連れ出した。

降り出した雨を見ると、橘は少しガッカリした様子だった。

その様子を見て、真理子は呟いた。

「雨は嫌いじゃないです。」

橘は振り返る。

「橘さんと初めて過ごした夜も雨でしたね。辛いこともいっぱいあったけど、
橘さんと出会えて本当によかったって今はそう思えるんです。」

「なら丁度いいかもしれないな・・・。」

橘は呟くと、真理子を抱きしめた。

「もう二度と俺の前から居なくなるな。ずっと俺の傍にいろ。」

橘は小さな箱を真理子に手渡した。

真理子が蓋を恐る恐る開けると、中から銀色に輝く指輪が出てきた。

「あのっ・・・これって・・・。」
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