重い想われ 降り振られ

「松田？」

橘が声を掛けると、慌てた松田が菜奈の手を離した。

「あっ・・・橘か。びっくりした。」

手が離れたのはいいが、菜奈は少し焦る。

「どうかしたのか？」

訊ねられて、菜奈は少し困った。

「いえ、ちょっと・・・なんでもないんです。」

「なんでもないって事はないだろ？真剣に告ってるのに。」

菜奈が言った言葉に、松田が反応した。

『あぁ～そうゆう事か・・・。』

二人のやり取りを見て、橘は事情を呑み込めた。

「どうでもいいんだけど結構外に声、漏れてるぞ。
そうゆうのは、仕事終わってからにしろよ。」

橘が松田に注意すると、突然菜奈が声を上げた。

「違うんです！私、好きな人がいるからって、何度も断ってて・・・。」

菜奈は橘の方へ駆け寄り、松田から逃げた。