重い想われ 降り振られ
真理子の中では、なんとなくだが全ての事に納得できた気がした。

そもそも橘のような人間が、真理子みたいな女に好意を持つ訳が無いと。

だから昨日の事も、橘が怒っていた理由はそこにあるのだと。

『なんだか、馬鹿みたい・・・。』

真理子の目に映る全てがグレーに染まり、白黒の映像を見ているかのように、
遠藤も松田も、小林でさえ全てが偽りに見えてきてしまう。

『違う。自分が驕っていただけだ。』

会話を楽しむ小林達の姿が、まるで真理子を見て笑っているかのように映る。

真理子にとって、苦しい昼休みが過ぎた。

デスクに戻っても、気が緩められない。

『考えない考えない。仕事に集中しないと。』

気を許すとすぐに涙がこぼれそうになる。

逃げ出したい気持ちを堪え、早目に仕事を切り上げ、
定時を過ぎた時点で帰り支度を終えた。

廊下に出て、玄関に向かう途中で呼び止められた。

「香田さん。」
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