拾った子犬(系男子)は身元不明
「やから、絶対に大学に落ちるわけにはあかんかったんです。

 俺、正直、あの時めっちゃ不安で。

 このまま、にーちゃん帰ってこんかったらどうしようとか。
 
 これで風邪引いて、試験で頭が働かんかったらどうしようとか。

 そのとき、千夏さんが声かけてくれたんです。

 やから、千夏さんは、俺にとって恩人なんです!」


「そっか。私、役に立ったんだね。」


良かった。ちょっとは役に立ったらしい。



「もう、立ちまくりです!!」


夏樹君はこたつから出て、正座をして頭を下げた。


「大学には無事に受かりました。千夏さんのおかげです!ホンマにありがとうございました!」


「頭、上げてよ!大学に受かったのは夏樹君の努力の結果でしょ?

 ・・・・っていうか、受かったの??」


私の質問に、夏樹君は顔を上げて、


「はい。そーいえば、まだ言ってませんでしたね。」


と、嬉しそうに言った。


「おめでとー!!!」


私は思わず夏樹君に抱きついてしまった。


「うわ、千夏さん??」


バランスを崩しそうになりながら、私を受け止める夏樹君。


私は、その焦った声で我に返り慌てて離れようとした。


が、夏樹君が腕に力を込めて、それを阻止する。


「夏樹君?」


「前から思ってましたけど、俺の事、男やってわかってますか?」


夏樹君の心臓の音が私の鼓膜を揺らす。


通常より早いであろうそのリズムに、自分から抱きついた私までドキドキする。
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