フキゲン・ハートビート


シャワーを浴びたあと、忘れないうちに季沙さんにお礼のメッセージを送った。

アキ先輩とみちるさんの連絡先は知らないので、ついでになってしまったけれど、そのお礼もお願いしておいた。


『蒼依ちゃん、こんばんは。クッキー食べてくれてありがとう~! わざわざ連絡も、ありがとうね。普段から趣味でお菓子づくりするんだけど、お口に合ったみたいでよかったです。迷惑だったらどうしようとかちょっと思ってたんだけど…(笑)そして、了解です、アキくんたちにも伝えておくね!

じゃあ、おやすみなさい。あったかくして寝てね。』


季沙さんの返信は早くて、言葉遣いが丁寧で、そのうえ気遣いが細やかで、感心する。

できればこんな女性になりたかった。
母性と愛にあふれた、そう、聖母マリアのような。


それから、さんざん迷ったけど、きょうのうちじゃないと気力が削がれる予感がしたので、寛人くんにも連絡をしてみた。

もうずっとメッセージアプリしか使っていないので、メールを送るというのは少し特別な感じがする。


『こんばんは。真島蒼依です。俊明さんから連絡先を聞きました。洋服も受け取りました。ありがとう。よかったら登録しておいてください。番号は、080-XXXX-XXXXです。』


我ながら事務的すぎて引く。


でも、だって、どんな距離感の文面を作成すればいいのかさっぱりわからなかったのだ。

フランクすぎるほうがちょっとアレかと思い、試行錯誤の末、これである。

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