フキゲン・ハートビート
「だからね、ヒロくんが蒼依ちゃんと仲良くしてるって話を聞いて、みんなすっごく喜んでるんだよ。ベロベロに酔っぱらった女の子を自分の家に連れて帰るなんて、いままでのヒロくんではとても考えられなかったもん」
俊明さんと同じことを言うんだな。ちょっと笑える。
「ちょっと不器用さんなところもあるけど、そういうのもかわいいと思って、これからもヒロくんと仲良くしてあげてね。あ、ちなみにこれはみんなの総意ね!」
仲良くしたいのはヤマヤマなんだけど、どうかな。
あたしじゃなく、寛人くんサイドのほうが問題ありそうだけど。
黙りこんでいるあたしを見て、季沙さんはやっぱり笑った。
この人が笑うと周りの空気がいっきにふんわりする。
優しい笑顔にすっかり癒されていると、思い出したように、突然その表情がちょっと困った感じに変わったのだった。
「あ。でも蒼依ちゃん、彼氏とかいない? もしいるならほかの男の子とは仲良くできないもんねえ。キレイだからモテそうだし」
「いないです! あと、あたしみたいな強そうな女って男受けホントに悪いんですよ……。マニア向けです……」
「あはは、マニアって! 蒼依ちゃんのこと好きな男の子がいたら失礼だよ~。整ってるお顔でうらやましいけどなぁ」
そう言ってくださって恐縮きわまりないけど、実際男の人ってだいたい季沙さんみたいなふんわりカワイイ系が好きなんだ。知っている。
新奈もガツガツはしているけど、雰囲気はカワイイから、彼氏が切れたことがほとんどないし。