エレベーター
今のは、夢?




現実とは思えない出来事に、わたしは動揺する。



『真由ちゃん。早くオウチへ帰ろう?』



自分の震えを掻き消すように、強く真由ちゃんを抱きしめた。



ヌル、とした感触。



真由ちゃんの後頭部を抱える手を恐る恐る離す。


わたしの手いっぱいに、血がついていた。


『あ…あぁ…』


両手を震わせるわたしを見た真由ちゃんは、そのつぶらな目を伏せる。


『おじちゃんがドンした時に、テーブルにぶつかって、血がいっぱい出たの。』


『真由…ちゃん。』




< 32 / 63 >

この作品をシェア

pagetop