エレベーター


わたしの爪先から十五センチほど先の空洞から、ゆるやかに茶色いぬいぐるみは落下する。



その先は、自転車置場だった。


中西さんのために置かれた二つの花束の黄色い色が、わたしの目に、鮮やかに移った一。




…チッ…


中西さんは舌打ちをすると、



『もう少しだったのに…』


と、悔しそうにわたしを睨んだ。


わたしは全身を大きく震わせながら、意識が遠退くのを必死で堪えた。






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