今宵、月下の夜に
「“闇の審判者”がよくいうよ」


呆れて杏那をみればその言葉にうっすらと笑っていた。


「昔の話よ」

カクテルを飲みながら言う彼女に心底思った。


ほんと、よく言う。


私なんかより今ここにいるこの人がいかに凄かったか。ううん。きっと今でも。

私がこの仕事をする以前、現役で活動していた彼女は1、2を争う殺し屋だった。


事が起これば彼女だと皆言うほど。
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