君のココロの向こう側
「拗ねて、……っない」



私が怒った素振りを見せても、余っ程ツボだったらしく、隆太郎は尚笑い続けていた。





別れの時間。

遠くにバスが見え、私は隆太郎を振り返った。



「送ってくれてありがとね」

「いや」



名残惜しそうに離れた手。

温もりを失った掌が彷徨い、少し寂しくなる。



「あ、信号引っかかってる」

「ほんとだ」



まだ青にならないで。

もう少し、一緒にいたい。

そんなことを思ってみるけど、叶うはずもなく。



──プシュー……

当たり前にバスは目の前にやってきた。



「それじゃ」



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