君のココロの向こう側
通話ボタンを押して、コール音が切れるのを待つ。

それは5コール目で切れ、次に隆太郎の声が聞こえる──筈だった。

だけど、



『はーい。もしもーし』



電話に出たのは隆太郎ではなく、声の高い女の人。



え……?

あまりに急なことに、頭がついていかない。



『太郎ちゃんに何か用ですかー?』

「あ……いや、」



その問い掛けに戸惑っていると、



『ちょ、アイカ!何勝手に出てんだよ!』



遠くで隆太郎の声が聞こえ、やがてそれは近くなった。



『悪い。今の、専門一緒のヤツ』

「そう、なんだ……」

『吃驚したよな。後で怒っとくから』

「……ううん、大丈夫」



何が大丈夫なんだろう。

こんなにも胸がざわついてるのに。



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