君のココロの向こう側
「東京の話して不安にさせてるなんて気付かなかった」

「……」

「俺はさ、これから先俺が過ごしていく場所を、峰にも知ってほしかった。だから無意識にその話が多くなってたのかも」

「……うん」

「向こうにいても、峰は何してるかなとか、これ峰に似合いそうだなとか、そんなことばっか考えてた」



何を不安になる必要があったんだろう。

隆太郎は何も変わっちゃいない。

付き合い始めた頃からも、君の夢を知ったときからも。



「そんななのに、峰を嫌いになるわけないだろ」



嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。



「この際だから、お互い言いたいこと言おうぜ」



突然の提案に目が点になる。

言いたいこと……?



「峰、俺に言いたいことあるだろ?」

「そんなこと……」

「いいよ、遠慮しなくて。俺もあるし」



言いたいこと……。

言ったら嫌われちゃうんじゃないかとか考えて、飲み込んだ言葉は沢山ある。

でも、何よりも今伝えたいのはただ一つ。



「またねのキス……」



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