晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜



「ねぇ咲ちゃんは音楽聴くー?」


「聴くよ」


「そうなんだ!最近みゆね、西野カナにハマってんだぁ」


「あ、私も好きだよ。アルバムをお母さんが買ってくれた」


「マジで!?いいなぁ!!」



ケータイ小説といい、音楽の趣味まであうのか。


知らなかった。


同じ部活で、小学校も同じだったのに

あんまり話したことなかったから。



「あっ、咲って呼んでもいい?咲ちゃんもみゆでいいから!」


「……うん。わかった」



呼び捨て、かぁ。


また、ちょっとだけ、キョリが近づいた。


複雑な心境に、笑顔がつくれない。


隣にいる彼女の話に時折あいづちを打ちながら、下を向いて歩く。


……ダメだよと、心が言ってる。


もうこれ以上近づいたらまた傷つくよって、警報が鳴ってる。


わかってる。


わかってるよ。


もう、近づかないよ。




……そう思ったら

心が少しだけ、痛くなった。



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