キスの意味
「・・・はぁ・・・」

両手を膝について、呼吸を整える。

オジサン達が、小娘相手にマジになって!

自分の事を棚に上げて、そんな事を思ってしまう。

足には自信があるが、なんせ持久力がない。

始まったばかりで元気な野球中年達に、ことごとく逃げられてしまう。

パーフェクト目指して、そこそこ走れる人を狙っているのもよくないのかも。

「沙映ちゃ~ん、もう疲れちゃったの?」「若いんだから、がんばれ!」

妙に余裕な野球中年達を見るのも、腹立たしい。

「作戦、変更かな・・・」

そんな風に呟いた時、聞き慣れてきた低い声が響く。

「お疲れ!」

「お疲れさまです!」

私も、振り向いて答える。

「これ、始まったばっかり?」

私の右隣に立った塚本さんに訊かれる。

「ですね」

「そっか。水野君、後でキャッチボール付き合って」

私は、一応塚本さんの意思を確認する。
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