キスの意味
「はい・・・。塚本さん、オニごっこ、参加します?」

「ん?そうだな・・・参加するかな」

塚本さんは私の顔を見て、穏やかに笑った。

「わかりました。じゃ、タッチ」

塚本さんの左腕に、軽くタッチする。

「・・・へ?」

キョトンとした顔の塚本さん。

「私、オニなんです。で、今日は“手つなぎオニ”をしていますので、そのつもりで」

「・・・それって、ズルくない?最初に言ってくれなきゃ・・・」

「最初に言ったら、逃げられちゃうじゃないですか!」

「・・・」

無言になってしまった塚本さんに、さらに続ける。

「そもそも、この状況を見て、何の疑問も持たずに私のそばに来るなんて。塚本さん、考え無さすぎ」

言い切った私に、塚本さんは、小さく溜め息を吐いた。

「・・・わかった。ん!」

塚本さんが、左手を私に差し出す。

「ヒューヒュー!!」「塚本、羨ましい!」

離れた所で、野球中年達が盛り上がる。

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