キスの意味
差し出された手を見る。

「やっぱり、無駄に大きい手なんですね」

「・・・水野君、時々、俺にすっごい辛口じゃね?」

「え~!?親しみを持って、お話ししてたのに!」

精一杯、キラキラさせたつもりの瞳で見つめる。

もう一度溜め息を吐くと、塚本さんは、広げた左手の掌を、私の目の前につき出す。

「ん!」

これは、手の大きさを比べてみろって事?

私も左手を広げて、掌を、塚本さんの手に合わせてみる。

「でかっ!」

「ちっちゃ!」

同じタイミングで声が出る。

私の手は、塚本さんの指の第二関節に、やっと届いたような大きさしかなかった。

確かに、私の手は小さい。指も短い。
手先の不器用さを表したような、なんとも不細工な手をしている。

この手は、私のコンプレックスの一つだ。

「てか、その小指、ウケ狙い?」

珍しく塚本さんが、的確な突っ込みをしてくる。

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