キスの意味
「いつから知ってたの?何で知ってるの?」

宮前さんは、ジトッと私を見る。私は、キュッと口を結んで、首を左右に振る。私は貝になりました。

しばらく沈黙が流れたが、宮前さんが小さく息を吐いて、終わりを迎える。

「水野君、そういうとこ、頑固そうだよな。まっ、いいや」

私は、その通り!と言うように大きく頷いた。

「村瀬さんの誘いをかわして『彼女?別にどうでもいい』みたいな雰囲気出しといて・・・実は『彼女は白雪姫です』だからな。全く・・・塚本さんには、敵わない」

「ハッ!」と今度は大きく息を吐き、天井を見上げた宮前さん。

敵うつもりだったのか・・・?てツッコミは、とりあえずおいておこう。

「何て言うか、お似合い?絵になる?あの2人で街中歩いたら、絶対目立つよな!会社に行った時は気付かなかったけど、白雪姫、背、高いんだな!塚本さんと並んだ感じも、バランスよくってさ!」

何をそんなに興奮しているのか?と、少々疑問を持ちながらも、苦笑しながら宮前さんの話しを聞く。私、苦笑しっぱなし・・・

ぼんやりとしか届かない言葉を聞きながら、胸の痛みが、段々鈍くなっていくような気がする。

このまま、痛みが消えるように・・・そう願いながら、右手でそっと胸を押さえた。
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